太陽光発電を設置している家庭を狙って、「無料点検」を名目に訪問し、不安をあおって高額な契約を迫る「点検商法」に関する相談が急増しています。独立行政法人 国民生活センターは2025年6月4日、この問題について報道発表を行いました。本記事は、特定の業者や訪問販売という営業手法そのものを批判する目的ではなく、公的機関が公表した統計・事例を正確に共有することを目的としています。
相談件数は2024年度に613件 ― 過去最多水準
国民生活センターのPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に登録された、太陽光発電システムの点検商法に関する相談件数の推移は次のとおりです。
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2017年度 | 57件 |
| 2018年度 | 59件 |
| 2019年度 | 53件 |
| 2020年度 | 62件 |
| 2021年度 | 90件 |
| 2022年度 | 154件 |
| 2023年度 | 304件 |
| 2024年度 | 613件 |
国民生活センターによれば、2023年度・2024年度は「それぞれ前年度の約2倍」のペースで相談件数が増加しています。2017年度と比べると2024年度は10倍以上の水準です。太陽光発電の設置戸数が増え、設置から10年前後が経過した住宅が増えていることも、この種の勧誘が増えている背景の一つと考えられます。
報告されている相談事例
国民生活センターが公表した相談事例のうち、代表的なものを紹介します。
- 訪問してきた業者が「点検は義務付けられている」と主張し、アンケートへの記入を求めてきた(70歳代男性)
- 無料点検の結果「パネルが赤くなっているため洗浄とコーティングが必要」と説明され、約40万円の契約を迫られた(80歳代女性)
- 「県から依頼された無料点検」と偽って訪問してきた(70歳代男性)
- 「FIT法改正で点検が義務化された」と電話で勧誘され、修理費20万円または撤去費50万円を提示された(70歳代女性)
よく使われる勧誘トークの例
国民生活センターの発表資料では、次のような勧誘トークが報告されています。
- 「点検が法律で義務化された」
- 「パネルが原因の火災事故が起きている」
- 「県(自治体)から依頼されて無料点検をしている」
太陽光発電システムの点検について、法律で定期点検の実施が一律に義務付けられているという事実は、国民生活センターの発表資料からは確認できません。「義務化された」という説明を受けた場合は、その場で契約せず、事実関係を確認することが重要です。
国民生活センターが呼びかけている対応
- 「点検が義務」と言われても安易に信じず、まずは点検の要否そのものを確認する
- 突然の訪問・電話勧誘にその場で応じず、複数社から見積もりを取って検討する
- 不安を感じたら、消費者ホットライン「188(いやや)」を通じて最寄りの消費生活センターに相談する
設置者側でできる備え
- 設置時の販売店・施工店の連絡先と保証内容(パネル・パワーコンディショナの保証年数等)を書面で保管しておく
- 点検やメンテナンスが必要かどうかは、設置した施工店・メーカーの正規窓口にまず確認する
- その場で契約せず、一度持ち帰って家族や第三者に相談する時間を確保する
- 契約してしまった場合でも、訪問販売にはクーリング・オフ制度が適用される場合があります。制度の詳細・適用条件は消費生活センターや国民生活センターの公式情報でご確認ください
なお、本記事は訪問販売という営業形態そのものや、点検・メンテナンス業を営む事業者全般を否定するものではありません。あくまで国民生活センターが公表した相談データと事例を、正確に共有することを目的としています。
出典・参考情報(取得日: 2026年7月31日)
- 国民生活センター 報道発表資料「太陽光発電システムの点検商法が急増!」(2025年6月4日): https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20250604_1.html
- 同資料(PDF版): https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20250604_1.pdf
相談件数等の統計は今後更新される可能性があります。最新のデータは国民生活センター公式サイトでご確認ください。